夏は海や山へのレジャーが楽しい季節ですが、大事な愛車が汚れるのは気になります。
できればこまめに洗車して、きれいにしたいのですが・・・。
そんなわけで今回は、洗車で熱中症になる理由を解説するとともに、洗車中の熱中症対策についてご紹介していきます!
洗車で熱中症になるケースはある?
洗車で熱中症になるケースは意外と多く、注意が必要です。
よく晴れた日は、洗車にもってこいの天気です。もちろん汚れがたまった車をキレイにするのはいいことなのですが、作業するにあたっては熱中症対策が必須です。
近年、日本の夏の気温はどんどん上昇していて、最高気温35度以上の猛暑日も珍しいものではなくなりつつあります。猛暑日の炎天下での洗車に、熱中症のリスクが付きまとうのは当然のことでしょう。しかし、実はそれほど暑くない日であっても、熱中症になってしまう場合があるのです。
そもそも「熱中症」とは体温が上がり体内の水分や塩分のバランスが乱れることによって発生する症状のことで、気温の高い日ほどリスクが高まりますが、体感的にそれほど暑さを感じない日であっても体温が上がれば熱中症になることは一般的にあまり知られていません。
実際に、夏場としては過ごしやすい気温30度以下の日に洗車をしていて熱中症になったケースも報告されています。
熱中症には気温だけでなく湿度も大きく関わります。湿度が高くてかいた汗が蒸発しない日だと、気温30度以下でも熱中症のリスクは急激に高まります。
特に水をたくさん使う洗車作業は体温の上昇を自覚しにくく、知らないうちに体温が上がって熱中症になってしまうことがよくあるのです。
洗車中に熱中症を起こす理由は?
梅雨時から夏にかけては、車のボディに多数の羽虫がこびりついてしまったり、長雨のせいで黒い筋ができたりと、何かと頑固な汚れが目立つ季節です。海辺のレジャーを楽しんだ後には、海水や潮風による錆び付きも気になりますよね。
何ヶ月も放置すると汚れやサビの具合はどんどん深刻になり、無理に落とそうとすると塗装が傷んだり、サビが広がってしまう恐れもあります。だからこそ夏場は洗車が重要なのですが、先述のとおり熱中症には十分に注意しなくてはなりません。
では、なぜ洗車中に熱中症になってしまうのでしょうか。これから本格的な暑さが到来する前に、洗車で熱中症になる理由をもう少し詳しく知っておきましょう。
猛暑・炎天下での洗車
車が好きな方でしたら、自分の愛車は常にきれいな状態を保っておきたいですよね。気候の良い時期なら思い立った時に洗車できますし、作業中に多少汗をかいても心地良く感じられますが、真夏の炎天下では危険です。
洗車は作業工程も多く、車が好きな方ほどじっくり時間をかけて丁寧に行う傾向があります。すっかり夢中になって、気が付けば何時間も経っていた・・・なんてことも珍しくないでしょう。
真夏は外気温が高いうえに車体も熱を帯びていて、近くにいるだけで体温が上昇します。カーポートなどの日陰で直射日光を避けることができばまだマシかもしれませんが、それでも外の気温自体が下がるわけではなく、暑いことには変わりありません。
先ほどご説明したとおり、熱中症は気温が高い環境にいることで体内に過剰な熱がこもったり、体温調節機能が狂ったりすることが原因の一つです。
「サクッと手短に終わらせれば大丈夫でしょ!」などと、楽観的に考えてはいけません。全身を使って行う洗車作業は、想像以上に体力を消費しています。
熱中症というと小さな子どもや高齢者がかかりやすいというイメージがありますが、真夏の屋外で起こる熱中症は普段健康な方がスポーツや作業によって短時間で発症するケースが非常に多いのです。
水分不足
ご存知のとおり、人間の体のほとんどは水分でできています。熱中症は、この体内の水分が大量の発汗によって不足することも原因の一つです。
気温35度を超えるような猛暑日でなくても、気温が高い時に屋外にいると自然に汗がにじみ出てきますよね。これは気温とともに上昇した体温を下げようとする体のしくみによるものですが、汗をかいたぶんと同じだけの水分を補給しないでいると、いわゆる“脱水状態“になります。
水分補給は喉が渇いてからで十分だと思うかもしれませんが、実は「ちょっと喉が渇いたな」と思う時にはすでに脱水が始まっていると言われていて、さらに体内の水分が4~5%失われると頭痛やめまいといった熱中症の症状があらわれます。
近年は熱中症対策への意識が高まりつつあり、ドリンクを常に持ち歩いている人も増えていますが、洗車作業に没頭している時はつい水分補給を後回しにしてしまいがち。愛車への思い入れが強く、とことん丁寧にやり込むタイプの車好きほど、脱水状態から熱中症になるリスクが高いと言えるでしょう。
車内清掃のやりすぎ
熱中症というと「気温が高く日差しの強い日に屋外でかかるもの」というイメージがありますが、近年は屋内でも熱中症になる人が増えているそうです。
洗車に関しても同じように、屋外でボディの汚れを落としたりワックスがけをしている時だけに限らず、車内の清掃をしている時にも熱中症にかかる恐れがあります。
フロント・両サイド・リアと四方をガラスに囲まれた車内の気温は、想像以上に高温です。真夏の炎天下では、50度を超えることも。あのバラエティ番組でおなじみの“熱湯風呂“でさえ45度前後が目安だといいますから、50度ともなれば体が茹で上がるようなレベルです。
そのうえ風通しも悪く、炎天下の屋外よりも厳しい環境と言えるでしょう。そんな中で隅々まできれいにしようと張り切っていては、体に異変が起こるのも無理ありませんよね。
JAFが実施したテストでは、外気温35度の状況下でエンジンを停止した状態で車内の温度変化を調べたところ、わずか15分後には熱中症指数が「危険」レベルに到達しました。「汚れが気になるところをきれいにするだけ」と思っていても、車内の掃除は意外に時間がかかるもの。気付いたら辛い症状が出てしまった・・・という可能性もあり得ます。
【番外編】インキー(インロック)
インキー(インロック)とは、車内に鍵がある状態でロックがかかってしまい、車の中に入れなくなることを言います。今はスマートキーが普及したことでインキーのリスクは低減していますが、スマートキーの電池が消耗していると車内にキーがあるにもかかわらずロックがかかってしまうことがあります。
当然のことながら、この状況下では車を動かすことができません。ここはロードサービスや専門の業者を呼んで開けてもらうのがいちばんなのですが、真夏の炎天下で到着を待つとなると、熱中症のリスクは一気に高まります。
特に夏休み期間は、インキー以外にも様々な車のトラブルが多発する時期。ロードサービスを利用する人が急増するため、到着までにかなり時間がかかることも。
その間は屋外で直射日光を浴び続けることになりますし、キーとともに財布を車内に置き忘れてしまった場合は飲み物を買うこともできません。
それならば自力で何とかしようとする人もいますが、無理なこじ開けはドアが故障する恐れがあるうえに、あれこれ自分でやろうとすることで余計に体力を消耗してしまいます。
洗車に没頭していると、車内にキーを落としていたことに気付かなかった・・・なんてこともあり得るでしょう。そんな“まさか“の事態のために覚えておきたい、インキー状態になった時の対処法をまとめました。
- スペアキーがあるなら自分で取りに行くか、家族に持ってきてもらう。
- ロードサービスや専門業者に連絡して開けてもらう。
- ロードサービスが到着するまではできる限りの熱中症対策をする
(屋内や日陰に避難する・帽子を被る・飲み物を調達して水分補給 など)
インキーが起こってしまっても、焦らないで冷静に対処すれば大きな問題にはなりません。まずは気持ちを落ち着けて、自分にできることを考えましょう。
洗車中の熱中症を避ける方法は?
ここまでお伝えしてきたとおり、暑い時期の洗車中は常に熱中症の危険がつきまといます。状況によっては、ほんの短時間のうちに体の異変が起こることも。それくらい夏の炎天下は人間の体に大きなダメージを与えるのです。
健康リスクを考えると、本来ならば夏の洗車はできるだけ避けるべきなのかもしれません。しかし、車好きとしては大事な愛車を汚れたまま放置しておきたくはありませんし、特に虫の死骸や雨水によるイオンデポジットといった夏特有の頑固な汚れは早めに対処したいところですよね。
そんなわけで、ここからは熱中症リスクを避けて洗車する方法をお伝えしていきます。
正しい熱中症対策を身につけて洗車を行えば、ご自身の体も愛車もしっかり守れます。暑さが厳しくなる前に、ぜひ覚えておいてくださいね!
水分補給
夏の洗車でもっとも重要なのが、こまめな水分補給です。
炎天下でなくても気温が高い日に洗車を行うと、発汗により多くの水分が失われていきます。先述したとおり「喉が渇いたな」と感じた時には、体はすでに脱水状態になりかかっているのです。
頭痛やめまいといった症状があらわれた場合は、長時間安静にしていないと治りません。そうなると洗車作業も途中で中断しなければならず、洗剤や水がシミとなって残ってしまうことも。これでは暑い中で洗車をする意味がありませんよね。
夏の洗車中は、普段以上に頻繁に水分を摂ることを心がけましょう。体が求めるタイミングで一気に摂るのではなく、10分に1回程度のペースでこまめに摂ることを意識してください。喉の乾きを感じる前に水分補給を行うことが、熱中症予防の第一歩です。
塩分が含まれたスポーツドリンクを用意しておけば、汗と一緒に失われたナトリウムも補給できます。コーヒーやエナジードリンクなどのカフェインを含む飲み物は、利尿作用によって脱水状態を悪化させる恐れがあるので避けておきましょう。
猛暑を避ける
「洗車するなら天気の良い日に」というのは車好きの常識。たっぷりの水で洗剤を洗い流してもすっきり乾く晴れの日こそ、絶好の洗車日和です。しかし、真夏の炎天下での洗車は、ご自身の体だけでなく愛車も大きなダメージを受ける恐れがあります。
特に気温35度を超える猛暑日にはボディ表面の温度も急上昇し、直射日光が当たると70度以上になることも。肌に触れれば当然熱いですし、そんな高温のボディに洗剤をかけると汚れを落とし切る前に洗剤が蒸発してしまいます。蒸発した洗剤の成分はボディにダメージを与え、まだらなシミを残します。この洗剤によるシミは、再コーティングしないと元通りにはなりません。
夏に洗車をするなら、気温が上昇する日中は避けること。手入れが必要な時は、気温が上がらない早朝に済ませてしまいましょう。お住まいの地域にもよりますが、朝7時から9時くらいまでの間がおすすめです。あまり早すぎると近所迷惑になる可能性もあるので気をつけてくださいね。
休憩を挟む
また、夏場の洗車はこまめに休憩を挟みながら作業を進めることも大切です。
熱中症を避けるためにも素早く終わらせたほうがいいと思いがちですが、実際に作業を始めるとそうはいきません。ボディ全体に水をかけ、洗剤をつけてスポンジ洗い、洗剤を洗い流して水分を拭き取り、必要に応じてワックスがけ・・・と、洗車は何かと手間がかかるもの。ノンストップで一気に済ませようとすると体温が上昇して汗をかき、かえって熱中症にかかる可能性が高くなるのです。
安全に洗車を行うためにも「作業を始めて10分経過したら水分補給のための休憩を挟む」といったルールを決めておきましょう。洗車を始めると時間を忘れがちになるという人は、タイマーの活用がおすすめです。タイマーが鳴ったら作業の途中でも必ず手を止めて、軽い休憩や水分補給を挟むことを心がけるだけでも、熱中症リスクを軽減できます。
【おすすめ】プロに頼む
普段は自分で洗車している方も、夏の間はプロに頼むことを検討しましょう。
すべての洗車作業を自力でやろうとすると、どんなに手早く済ませようと思っても30分以上はかかってしまいます。先述したとおり、屋外の熱中症は短時間のうちに発症するケースも多いのです。
プロに任せるとそれなりの費用はかかりますが、仕上がりの質も格段に違います。入念な手洗いに加えて、一般的な家庭にはあまりない専用の道具で洗車してくれるため、大事な愛車にも負担がかかりません。最近ではモコモコのムース泡が出る洗浄ガンを使用して、摩擦や砂ぼこりによる傷を防ぎながら優しく洗車してくれる店舗も増えています。
また、プロは洗車後のケアも万全です。自分で洗車する場合だと、洗剤を洗い流した後はそのまま自然乾燥で・・・というケースも多いですよね。しかし、ボディに水滴が残った状態で日光を浴びると、水垢やシミになって残ってしまうことも。プロの洗車なら、拭き上げからコーディングまでしっかり丁寧に行ってくれるので、隅々までピカピカの仕上がりです。数千円の費用でご自身の体と愛車をいたわれるなら、一考の余地はあるのではないでしょうか。
【一番おすすめ】高性能な洗剤を使う
「大事な愛車だからこそ自分の手でケアしたい!」「プロに頼むほどお金に余裕がない!」という方は、洗車作業にかかる時間をできるだけ短縮する工夫をすることで熱中症リスクを最低限に抑えましょう。洗車時間が短ければ短いほど、体へのダメージも少なくなります。
洗車時間を短くするポイントは、以下の2つです。
- 多機能型のシャンプーを使用する
- コーティングをする
最近は市販のカーシャンプーにも様々な種類がありますが、夏場の洗車にはシャンプーと同時に水垢落としやワックスがけができる“多機能タイプ“がおすすめです。手間のかかる作業がシャンプーするだけで終わるので、洗車時間を一気に短縮できます。
また、コーティングはボディに汚れが付着するのを防いでくれるだけでなく、洗車時に汚れが落ちやすくなる・水滴を拭き取りやすくする効果もあり、きれいな状態を長く維持できるうえに洗車作業もグッと楽になります。特に親水タイプのコーティング剤は雨が降った後も水滴が残りにくく、乾いた際もシミができにくいので、日常のメンテナンスも時短できます。
以下のページで親水性コーティング剤のおすすめをご紹介していますので、ぜひあわせてチェックしてみてくださいね!
まとめ
さて、いかがでしたか?今回は「洗車で熱中症になる理由」と「洗車時の熱中症対策」を詳しく解説しました。
夏の太陽の下での洗車は気持ち良さそうだし、ボディもすぐ乾くから手間もかからなそう・・・と思ってしまいますが、実際はご自身の体にも愛車のボディにも大きな負担がかかってしまいます。短時間の作業でも熱中症にかかるケースもあるので、くれぐれも注意してください。
大事な愛車をきれいに乗るには定期的な洗車が欠かせませんが、楽しいカーライフは健康あってこそ。長距離移動やレジャーの後など、どうしても洗車が必要な時は決して無理をせず、今回ご紹介した対策方法を取り入れながら体調に配慮して作業を行うようにしましょう。