普通のルーフと同じような手入れ方法ではいけないのでしょうか?
きれいな状態を維持しないとその効果を存分に発揮してくれないのはもちろんですが、きちんと手入れしているのに車内が暗く感じるのは、間違ったやり方で手入れしているせいかもしれません。
そんなわけで今回は、ガラスルーフの正しい手入れの仕方と洗い方を解説します。同じようなお悩みを持つ方は、ぜひ参考にしてください!
ガラスルーフの手入れは簡単?
開放感たっぷりの空間を満喫できることで大人気のガラスルーフ。澄み渡る青空と太陽の光を感じながらのドライブは、大切な人と過ごす時間をより一層楽しいものにしてくれますよね。
ただ、冒頭でも触れたように、ガラスルーフは丁寧に手入れをしてきれいな状態を維持していないと、その効果を存分に発揮してくれません。洗車のたびにしっかり磨いてピカピカにしているはずなのに、何だか最近車内が暗い気がするという場合は、手入れのやり方が間違っている可能性がありそうです。
ガラスルーフの手入れは、普通のルーフと違って簡単ではありません。ガラス面は通常のボディに比べると傷が付きやすく、曇りや水垢などにも気を付けなければならないからです。
また、ウィンドウガラスと比べても、ガラスルーフの手入れは難しいと言えるでしょう。
フロントやサイド、リアのガラスは地面に足を付けた状態ではっきりと目視することができる低い位置にあるので、たとえば雑巾で汚れを落とそうとしたときにも目の前で汚れの状態を確認しながら拭くことができますよね。
しかし、ガラスルーフの場合はそうはいきません。同じガラスであっても、自分の目で見ながら丁寧に拭くことができる位置にあるのと、手を伸ばしても届くか届かないかというような高い位置にあるのとでは、手入れの難易度は大きく違ってきます。
かといって、下手に道具を使うとガラス面に傷つけてしまったり、無理な体勢で手入れをしようとして自分自身が怪我をすることも。普通の車にはない特別感が味わえるガラスルーフ車ですが、そのメリットを享受するにはなかなかの労力が必要なのです。
とはいえ、安全かつガラス面を傷つけてしまわない方法を選べば、ガラスルーフ車に乗り始めたばかりの方でも自分で手入れを行うことが可能です。とても難しくて素人にはできないというほどではありませんので、ぜひ正しい手入れ方法を理解して挑戦してみてくださいね。
【NG】避けるべきガラスルーフの手入れ方法は?
正しい手入れ方法を知ることも重要ですが、良かれと思ってやったことが失敗につながるほうが怖いという人もいるでしょう。
それならば、先に避けるべきガラスルーフの手入れ方法を知っておいたほうが安心して作業を進められるのではないでしょうか。
車の洗い方として適切だと言われている方法や、使うと効果があるとされている商品が、必ずしもガラスルーフにとって良いとは限りません。
誤解されているケースも多いので、ガラス磨きには自信を持っている人も一緒に注意点を確認しておきましょう。
コイン洗車機
手軽に車をきれいにしようと考えたときによく利用されているのがコイン洗車機です。最近はディーラーで点検をしたときにも、洗車機に入れて洗ってくれることが多くなりました。
洗車機のメリットは、何といっても短時間で車全体をきれいにできること。コイン洗車場やガソリンスタンドなどに行けばいつでも利用できますし、最新の機械はメニュー数も増えているのでニーズに合った洗車が可能です。
ところが、ガラスルーフ車の手入れにはコイン洗車機は向いていません。なぜなら、通常の車と同じように洗車をしてしまうと、ガラス面が台無しになってしまうおそれがあるからです。
コイン洗車機を使うと、車の背の高さにぴったり合わせた専用のブラシでルーフを洗浄してくれますよね。ただ、コイン洗車機のブラシはあくまで通常のボディ表面に合わせた仕様になっており、ガラスの手入れをするのには荒すぎるのです。荒いブラシでガラスを擦ったら、傷がつくことは言うまでもありません。
ガラスルーフに合わせた機能を設定できるコイン洗車機があれば問題はないのですが、現状では天井洗車をキャンセルするしかなく、結果としてガラスルーフは別に洗わなければならなくなります。
中には「水圧だけで洗浄する”ノンブラシ洗車機”なら傷付かずに済むのでは?」と思った方もいるでしょう。
しかし、ノンブラシ洗車でも機械に入れる前に細かいチリや埃などをしっかり落としておかないと、チリや埃が水圧によって押されて摩擦を起こし、ガラス面に小さな傷ができるおそれがあります。傷自体は目には見えない小さなものでも、傷があることで汚れやすいガラス面になってしまうので注意が必要です。
また、こちらは後述しますが、ガラスルーフの汚れは水圧だけではきれいに落とし切れません。洗車機に入れてみたけれどきれいにならなかった、それどころか傷がついてしまった・・・という残念な結果になりかねないので 、コイン洗車機を使った手入れは避けた方が無難です。
ガラスコーティングの使用
また、中には「ガラスルーフというくらいだから、ガラスコーティングをすればいいのでは?」と考えた方もいるかもしれません。
確かに車のボディにガラスコーティングをしておくと傷や汚れがつきにくくなり、塗装のツヤも良くなりますよね。しかし、ガラスコーティングはあくまでもボディコーティングのためのものであって、ガラスにコーティングするものではありません。
名前から判断して間違えてしまいがちですが、ガラス表面には合わない素材を使うことになるので、良かれと思ってガラスコーティングをしてしまうと悲惨なことになりますのでご注意ください。
そもそもガラスコーティングは”ガラス質の被膜を作る”のが特徴で、ガラス表面には定着しにくく、均一に広がらせるのも困難です。そのため、ガラスルーフに使用すると少し歪んで見えてしまったり、ブレたような見え方になったりする可能性があります。
さらに、ガラスルーフへのコーティングは、ボディコーティングでもしばしば問題になる”イオンデポジット”が落ちなくなる原因にもなり得ます。
イオンデポジットとは雨や水道水に含まれるミネラル分がボディに残って水垢のようになったもので、悪化するとウォータースポットというクレーター状の小さな穴となって塗装を劣化させます。
このイオンデポジットがきれいに落ちていないままコーティングをしてしまうと、コーティングを剥がさない限りはきれいになりません。イオンデポジットがガラス被膜とガラスルーフの間に閉じ込められてしまうからです。
このトラブルを防ぎ、気づいたらさっと拭くだけできれいになるようにするためにも、ガラスコーティングは厳禁と考えましょう。
ガラス面に対応したコーティングであれば実施することも可能ですが、ルーフは汚れや埃が溜まりやすく、水気も残りやすいことからあまり大きな効果は期待できません。撥水コーティングをしたのに水垢が目立つなどといったトラブルもよく起こっています。
それでも保護効果があると考えてコーティングをするのは良いかもしれませんが、実際に行う場合は費用対効果をよく考える必要がありそうです。
普通のコンパウンドの使用
車の表面をきれいにするには、コンパウンドで磨くのが効果的だというのを知っている方もいるでしょう。
ガラスルーフも同じように、美しくするにはコンパウンドで十分に磨けば良いと思うかもしれませんが、車のボディに用いる普通のコンパウンドでガラス面を磨くのは厳禁です。
コンパウンドは研磨剤なので磨く材質に応じて適切なコンパウンドを選ばないと摩擦面を傷つけてしまうリスクがあります。
車用のコンパウンドはボディの塗装を研磨して傷跡やウォータースポット、黄ばみなどを取り除くのに用いられるものが一般的です。ガラスルーフにこのような荒い研磨剤を使用してしまうと、傷だらけになることは言うまでもありませんね。
ただし、ガラス面を傷つけにくい研磨剤を使っているコンパウンドは、ガラスルーフの気になる汚れを落とすのに有効です。
手抜きをしてボディと同じコンパウンドを使ってしまうと後悔することになりかねないので、ガラス用のコンパウンドを調達してきましょう。
無理な体勢での手入れ
ガラスルーフの手入れをするときは高い場所での作業になるため、つい無理な体勢を取ってしまいがちです。背の低い車の場合は地面からでもガラスルーフに手が届くかもしれませんが、全面を見渡すことは難しいでしょう。
タイヤの上に乗ったり、ドアを開けて車のヘリに足をかけたりしながら洗ってしまう人もいますが、足元が安定していないとバランスを崩して転倒する可能性があります。体を車に密着させることになると、衣服が汚れてしまうのも問題です。
背が高い車の場合は地面からでは洗えないので、踏み台や脚立などの用意が必要になります。この場合には本当に高所作業になるので、転落したときの怪我のリスクもさらに大きくなるのは明らかです。面倒だからといって体を無理に伸ばして洗おうとすると、バランスを崩してしまうおそれがあります。
このように、無理な体勢での洗車作業にはたくさんのリスクがありますので、必ず安定した姿勢を保って手入れできるようにしましょう。踏み台や脚立などを使う場合には、面倒でも一度降りて場所を動かし、また上って作業をするのが安全です。
【OK】正しいガラスルーフの手入れ方法は?
避けるべき手入れの仕方を一通り理解できたところで、ガラスルーフの正しい手入れ方法を確認していきましょう。
ガラスルーフをきれいにする方法は一つだけしかないわけではありません。ここでは重要なポイントを三つの観点から説明するので、自分にはどのやり方が合っているのかをよく考えてから洗車を始めてみてください。
プロによる洗車
ガラスルーフをとにかく大切にしたい、洗う手間をできるだけなくしたいという人は、プロに依頼しましょう。車のプロであるディーラーや、洗車のノウハウを持っている整備工場に持って行けば、美しくきれいなガラスルーフに仕上げてくれます。
もっと身近にあるところで洗ってもらいたいという場合には、ガソリンスタンドが候補になります。車検専門店やカー用品店でも洗車を受け付けているところがあるので、自宅近くにある店舗から問い合わせてみてください。
最も車のことをよく知っているのはディーラーですが、色々な車種を洗った経験を持っている点では整備工場やガソリンスタンドが優れています。洗車機を使うのではなく、手洗いで対応してくれるところを探して依頼しましょう。
プロに任せれば、ガラスルーフが傷ついてしまうことはありません。油膜やイオンデポジットなども丁寧に除去してくれるので、透明で明るいガラスルーフが蘇ります。
また、必要に応じてガラスルーフ用のコーティングを施してもらうことも可能です。予算や時間を考慮したうえでどういう仕上がりにして欲しいかを詳しく相談できるのも、プロに依頼するメリットでしょう。
専用コンパウンドの使用
気になる汚れを自分の手で何とかきれいにしたいというときには、やはりコンパウンドを使うのが効果的です。ただ水洗いをしただけでは落ちにくい汚れも、コンパウンドを使えばスムーズに落とせます。
このときに重要なのは、前述のようにボディに使う普通のコンパウンドではなく、ガラス面専用のコンパウンドを使用することです。
水洗いをして大まかに汚れを落とした後、専用のコンパウンドとスポンジを使って磨いていきましょう。先に水洗いをすることでチリや埃を取り除けるので、摩擦由来の傷が付かずに済みます。
コンパウンドを使うときは円を描くようにして気になる汚れを落としていくのがプロの技ですが、こすり方が悪いとかえって目立つ傷ができてしまいます。車体を傷付けるリスクを下げるには、直線的に拭いていくのが良い方法です。ガラスルーフの広い範囲に手が届く必要があるので、足場をどこに置くべきかをよく考えてから作業を始めましょう。
脚立とモップの使用
ガラスルーフの手入れで使う道具としては脚立とモップがおすすめです。
脚立を使うと十分に高い場所で足元を安定させることができます。あまり高い脚立である必要はありませんが、ガラスルーフ全体を見下ろすことができて、肘の位置より下に屋根の面が来るようにすると作業が楽になります。
モップを使うと脚立を同じ位置に置いたままでもガラスルーフの広い範囲を洗えます。車と脚立の距離も開けられるので、洗っているときに衣服に水がかかってしまうリスクも低くなるでしょう。
安全で体の負担も少なく、効率的に作業できる点で優れているのが脚立とモップの組み合わせなのです。
以下の記事では、ガラスルーフの手入れにもおすすめの脚立とモップをご紹介していますので、まだ用意していない方はぜひチェックしてみてくださいね!
ガラスルーフのお手入れQ&A
ガラスルーフの車がそれほど一般的になったわけではないので、洗うときに不安になってしまう人は大勢いるのが現状です。
そこで最後に、ガラスルーフの手入れに関するよくある質問にお答えしていきます。
他の人がどのような疑問を持っているかを見てみると「こういう点も気にかけた方が良いのか!」といった新たな気づきがあるかもしれません。
気になることはたくさんあるかと思いますが、今回は代表的な二つの質問を厳選して詳細に解説します。
洗車の時、ガラスルーフはいつ洗えばいいの?
洗車の順番はよくある質問の一つですが、ガラスルーフを洗うタイミングとして適しているのは洗車作業のいちばん最初です。
水洗いをすると汚れは上から下に落ちていくので、後でガラスルーフを洗うとせっかくきれいにしたボディやフロントガラスなどがまた汚れてしまいます。ガラスルーフの手入れは手間がかかるからといって後回しにしないようにしましょう。
ガラスルーフだけきれいにしたいと思ったときも、屋根を洗えば当然ボディなども汚れてしまうので、全体を洗う必要が生じることがほとんどです。
手間をかけたくない場合には、ガラスルーフを洗った後に天井洗車をキャンセルしてコイン洗車機を使うのも良い方法です。
猛暑の中でガラスルーフに水をかけるのはキケンってホント?
夏の猛暑の中でガラスルーフの手入れを行うのは効率が悪いうえにかなり危険な行為です。
猛暑のときには車の表面温度がかなり高くなっていて、水をかけると急激な温度差が生じます。ガラスルーフには丈夫なガラスが使用されているため、温度差で割れることはまずないですが、傷があると広がるおそれがあるので注意が必要です。
また、暑い日や直射日光の当たるところなどでガラスルーフの手入れをしても、思ったようにきれいにならないことがあります。これは水をかけてから拭き取るまでの間に乾いてしまった水滴がイオンデポジットになって残ることが多いからです。
ガラスルーフに限らず、通常のルーフや車のボディなどについても同様なので、洗車作業は暑い日や直射日光を避けて行うようにしましょう。
まとめ
ガラスルーフ車の魅力である、明るく開放的な車内空間を作り上げるには、透明で美しいガラス面を維持することが重要です。
そのためにも定期的に手入れを行ってきれいにする必要がありますが、やり方を誤ると台無しになってしまうということがおわかりいただけたでしょうか。
避けるべき手入れのやり方と正しい手入れのやり方がわかっていれば、気付いたときにきちんと洗って透き通ったガラスルーフを蘇らせることができます。プロに任せて洗車するのも安全で安心な方法ですが、脚立とモップさえあれば自分でも手入れが可能です。
シャンプーやコンパウンドなどガラス専用のケア用品も揃えて、ぜひ自分で洗ってみてくださいね!